津島地域拠点の提案  町屋でのリノベーション:床の形成

5月から11月にかけて、町屋でのリノベーションを行ないました。

ここでは、上がり床を形成した過程を報告します。床の下地は、前年度の活動で取り組みました。 本年度はその継続です。

→2021年 古材の循環的活用の検討

敷地内にあった蔵を解体した際に、いくらかの古材が保管されていました。資源循環の視点から、新たな材を購入するのではなく、まだ使える材料をいかにうまく転用活用していくか・・・学生達は改修の床仕上げ材として古材を活用することを考えました。実際に床に古材を並べると、町家独特の光環境のもとで、古材が光ったり、味わい深い表情を見せたりします。それらをデザインの要素として活かすことを考えました。

床の形成1 古材再生のための やすり・塗装(2022.5~2022..8)

古材のやすりがけ
古材にやすりがけをすると、きれいに蘇る
古材の塗装の試行錯誤

古材の活用はプロジェクトにおいて学生達が最も心を砕いた部分の一つでした。床下地の完成とともに、古材のやすりがけが始まりました。サンダーでやすると面白いほどに古材がきれいな材に蘇ります。それを喜んで、細かすぎる目でやすり過ぎたようでした。古材にやすりをかけた後に、いざ塗装を始めるとツルツルになり過ぎた古材は塗料をはじいていました。思うような塗料の染み込みを得るのには、やすり具合の手加減が重要でした。更に活用した古材の樹種が必ずしも同一ではなかったために、樹種ごとの塗料の染み込み具合をバランスさせるのに手間が必要でした。

床の形成2 床材の加工・調整・固定(2022.5~2022.11)

床材の設置位置とその長さを調整
床の古材を張る。部分的に材の反りをおさえるために重石をおく

床は中央は古材を一列横置きに並べ、両脇は縦に乱尺張りとするデザインで、中央古材の切り出しには細心の注意を行いました。また中心軸のはっきりしたデザインで、建物の実際の軸と中心軸を視覚的にそろえること、床材の加工、端部の既存との長さ調整、全てその場その場で合わせていく作業の連続を経て、貼り上がりました。