固体高分子型燃料電池の開発

酸素と水素の化学反応過程で生成されるエネルギーを利用する燃料電池は低環境負荷で発電効率に優れており、特に固体高分子形燃料電池は自動車用の動力源として開発されている。従来の白金担持カーボン触媒は、触媒のコストや、カーボン腐食に伴う白金微粒子の溶出や凝集に伴う触媒の劣化(耐久性が低い)などの問題がある。これらの問題を解決するために、次世代燃料電池用材料として、白金を用いない、安価でORR活性の高い非白金触媒電極の合成技術の開発を行っています。

燃料電池は、その特性から車両サイズが大きく、移動距離の長い大型自動車(バスやトラック等)への応用が期待されています。また、定置用燃料電池として家庭用(エネファーム)や産業用(工場等)の電源として期待されています。

1.白金/カーボンブラック触媒を用いた従来型燃料電池セルの評価

研究室で作製した白金/カーボンブラックを触媒としたMEA(燃料電池用膜電極接合体 )

白金/カーボンブラック触媒を用いた従来型燃料電池シングルセルの発電特性

2.カーボンナノウォール(CNWs)を触媒担持体として用いた新規燃料電池セルの開発

誘導結合型プラズマCVD装置を用いて合成したカーボンナノウォールのSEM像
(合成条件により、ウォールの間隔が変化しています。)

CNWsは、基板に対して垂直に立つ壁ような構造をしているカーボンナノ構造体です。本研究では、このCNWsに白金を担持したMEAによる燃料電池シングルセルの発電特性を評価しました。ウォールの間隔が広いほど、電気化学反応が起こる3相界面の面積を広くとれるために、発電特性が良くなったと考えられます。

Journal of carbon research; Vol. 8, pp. 44 (2022)

3.白金を用いない安価で高効率な非白金炭素触媒電極の合成技術の開発を行っています。

大気圧プラズマを用いて、非白金炭素触媒電極の新規還元プロセスの開発に取り組んでいます。(特願2022-016670)

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