ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の開発

自動車部品や工具のハードコーティング、半導体チップ作製用ハードマスク等に用いられるダイヤモンドライクカーボン成膜に関する研究を行っています。主に大電力パルススパッタ(HPPMS)技術を用いて、硬度40GPa以上のDLC成膜技術の実現を目指しています。また、燃料電池等に使用可能な導電性DLC膜の研究も進めています。

1. 大電力パルススパッタリングのプラズマの様子

投入電力による成膜モードの変化(チタンターゲット)

(左:通常のスパッタ成膜モード、右:ハイパワースパッタ成膜モード)

様々な希ガスによるプラズマ発光の様子(カーボンターゲット)

2. 大電力パルススパッタで生成されるイオンの振る舞い(Cターゲット)

膜に入射する炭素イオンのエネルギー分布

(Thin Solid Films 672 (2019) 104–108)

膜に入射するアルゴンイオンのエネルギー分布

(Thin Solid Films 672 (2019) 104–108)

3. 大電力パルススパッタで成膜したDLC膜の特性

HiPIMSを用いて成膜したDLC膜の摩擦特性 

HiPIMSを用いて成膜したDLC膜の硬度(基板バイアス電圧なし)

4. 大電力パルススパッタによるプラスチック基板上へのDLC成膜(基板バイアス電圧無印加)

様々なプラスチック基板上に成膜したDLC膜

ポリアセタール(POM)、 ポリアミド6(PA6)、 ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)

電気自動車などでは、エネルギー効率の向上のために軽量なプラスチックの部品が増えています。このプラスチックの耐久性や摺動特性を向上させるために、HPPMSを用いてDLCの成膜を行っています。同一のスパッタ(成膜)条件でも、基材によって成膜されるDLCの膜質が異なります。

(表面技術, vol.73, pp. 47-52 (2022))

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