研究紹介
電圧を印加すると電極間に電界が生じます。本研究室では,この「電界」による「食品の殺菌」や「植物成長促進」に関する研究を実施しています。また,電極間に印加する電圧を高くすると,電極間にある「絶縁体」はやがて壊れます。これを「絶縁破壊」と言います。本研究室では,「高い電圧に耐えることができる絶縁材料」の研究も実施しています。
・電界殺菌
加熱殺菌法は微生物の細胞膜,タンパク質,酵素などを熱により変性させることで殺菌します。高い温度で加熱すると多くの菌を殺菌できますが,食品の栄養(タンパク質,炭水化物,ビタミン等)を劣化させ,品質(香り,色,食感等)を変化させてしまいます。また,食品中の水分の比熱が大きいため,液体の温度を高くするには,大量のエネルギーが必要になります。加熱温度を低くすれば,食品中の栄養の劣化や品質の変化や消費エネルギーも少なくすることができますが,その殺菌効果は弱くなりますそのため,非加熱,常温で栄養の劣化や品質の変化を起こさず,全ての菌を殺菌する殺菌方法が求められている。本研究室では「電界」に注目し,以下の研究に取り組んでいます。
・パルス電界による液体食品の殺菌
・電界印加による氷中の微生物の殺菌
・植物系電気絶縁油
電気絶縁油は高電圧を扱う変圧器やコンデンサ,ケーブル等の油入電気機器に封入されている液体です。絶縁油には高い電気絶縁耐力,粘度や流動点の低さ(循環冷却),引火点や燃焼点の高さ(高温環境下での使用)などの性能が求められています。現在,絶縁油の主流は石油を原料として合成・精製された鉱油でで一方,鉱油は焼却処分時に大量の二酸化炭素を放出することや,機器外部へ流出した際に土壌や海洋を汚染することから,環境への負荷が非常に大きいです。そこで本研究室では,米油や廃油を利用した電気絶縁油の開発に取り組んでいます。