比較文化論

概要

名城大学人間学部の3年次以上の学生が受講できる専門科目です。

この授業では、文化研究(カルチュラル・スタディーズ)など広範なメディアコンテンツに卒業論文等で取り組む学生を対象にして、主に「映像メディア」と「音声メディア」という異なる二つのメディア・コンテンツを比較し、それぞれの特徴や類似点・相違点を理解します。さらにそうした基礎的な知識の上に、現代思想など文化研究の理論を用いて、独自のメディア分析を試みます。

理論的な理解という点では、各種メディア研究の参考書や、記号論や表象論といった現代思想の専門書を元にして、どのようにメディアコンテンツに取り組めばいいのかを講義します。加えて、体感的な理解も重要です。体感的な理解では、実際に「映像メディア」と「音声メディア」それぞれのコンテンツを授業内外の時間を使って実際に制作し、提出してもらいます。

カルチュラル・スタディーズは机上の学問ではなく実践的な学問だと言われます。

制作してもらう作品は、理論的に学んだ事柄を反映させた習作です。クリエイターを養成するわけではありません。しかし「映像メディア」と「音声メディア」の仕組みを理解するためには、実際に手と頭を動かして作品を作ってもらうことが最適です。

授業の流れ

初回ガイダンスで成績評価方法や授業の到達目標を説明します。その後、メディア文化研究をする際に必要となる知識と理論を確認します。まずは「映像メディア」、続いて「音声メディア」について学びます。最終的には映像メディアと音声メディア¥を比較しながら、文化研究で用いる批判理論について学びます。

参考文献

  • 富野由悠季『映像の原則 改訂版』キネマ旬報社、2011年。
  • マイケル・ライアン、メリッサ・レノス『Film Analysis 映画分析入門』田畑暁生訳、フィルムアート社、2014年。
  • グレアム・ターナー『フィルム・スタディーズ:社会的実践としての映画』松田憲次郎訳、水声社、2012年。
  • ジェイムズ・モナコ『映画の教科書:どのように映画を読むか』岩本憲児訳、フィルムアート社、1983年。
  • 神井護『動画の文法:トップ・プロが教える「伝わる動画」の作り方』技術評論社、2022年。
  • スティーヴン・D・キャッツ『SHOT BY SHOT』株式会社スプラウト訳、ボーンデジタル、2022年。
  • 御木茂則『映画のタネとシカケ』玄光社、2023年。
  • 永冨真梨・忠聡太・日高良祐共編著『ポピュラー音楽:〈聴く〉を広げる・更新する』フィルムアート社、2023年。
  • YATTEIKI Project編『今日からはじめる「技術Podcast」完全入門』インプレス、2018年。
  • ジャック・D・ヘリントン『Podcasting Hacks ―構成、録音、発信の必須テクニック』株式会社クイープ訳、オライリージャパン、2005年。
  • Glen Weldon. NPR’s Podcast Start Up Guide: Create, Launch, and Grow a Podcast on Any Budget. Ten Speed Press, 2021.
  • グレアム・ターナー『カルチュラル・スタディーズ入門:理論と英国での発展』溝上由紀ら共訳、作品社、1999年。
  • 上野俊哉・毛利嘉孝共著『実践カルチュラル・スタディーズ』ちくま新書、2002年。
  • 千葉雅也『現代思想入門』講談社現代新書、2022年。
  • 北村紗衣『批評の教室:チョウのように読み、ハチのように書く』ちくま新書、2021年。
  • 稲垣健志編著『ゆさぶるカルチュラル・スタディーズ』北樹出版、2024年。